こんにちは。
今日は久々に中小企業企業診断士として活躍するために必要なベーシックスキルについて取り上げます。
取り上げるスキルは「聴くスキル」です。
この記事の目次
簡単なようで難しい「聴くスキル」
中小企業診断士として経営支援をするとき、どんな仕事であっても必ず実施するのはヒアリング。
実務補習で最初にやることはヒアリング。
実務従事でも最初にやることはヒアリング。
公的機関の窓口相談でも最初にやることはヒアリング。
民間のコンサルティングサービスを提供する場合もヒアリングからスタート
とにかく私たちの仕事は経営者や従業員の話を聴くことがすべてのスタートになります。
特に初めて支援先とお会いする時は、「聴くに始まり聴くに終わる」といっても過言ではありません。
ですから、事前に会社の情報が分かっているときは、しっかりと下調べをしてヒアリング事項をまとめて準備して臨む方も多いと思います。
でも、どんなに準備してもヒアリングの最初の入り方を間違えてしまうと、社長からいい答えが引き出せずヒアリングが失敗に終わってしまうことが多いです。
ヒアリングで失敗する要因とは?
こうした失敗が起こるのはどんな時でしょうか。
私自身がたくさんのヒアリング現場を見てきて感じているのは、失敗する多くの原因は、話す側、つまり経営者の方のウォーミングアップ不足です。
皆さんも体を動かす時、ウォーミングアップをしないと思うように動けなかったり、怪我したりしてしまいますよね。
それと同じで、話すという行為もウォーミングアップが必要なのです。
今回の場合のウォーミングアップというのは、何かを話すという準備運動をしてもらうことです。
ヒアリングでお聞きする内容というのは、結構考えながら話してもらわないといけません。
そうしたことに慣れている人ならなんてことないのですが、社長の中にはそういう行為そのものになれていない方も多く、話すウォーミングアップをせずに考えさせる質問をしてしまうと「うーーん」で考え込んでしまって、何も出てこないということが多々あります。
でも、しっかり話すウォーミングアップをしていると、これがあら不思議、同じ質問でもしっかりと回答をしてもらうことができるんです。
ヒアリング時のウォーミングアップとは?
では、そのウォーミングアップってどうすればいいのでしょうか。
セミナーでよくやるアイスブレイクとかすればいいの??
時事ネタとかで雑談をすればいいの??
とパッと思いつく方もいるかもしれませんが、アイスブレイクや雑談は我々の力量が必要になってきます。
うまくできれば、場が温まり、とてもいい雰囲気で社長から色々なことが引き出せるようになるかもしれません。
でも、一歩間違えるとグダグダなアイスブレイクになってしまい、結果ヒアリングもうまくいなかないという結果を招いてしまいます。
そこで聴く側の力量は必要なく、そして聴かれる側もあまり考えることなく、それでいて一つの質問である程度お話をしてもらえるという方法があります。
たった1つの質問をすればいいんです。
それは・・・
「ではまず初めに会社の創業からこれまでの歴史(or 沿革)を教えていただけますでしょうか。」
という質問。
この質問に対して回答してもらう話は、すべて過去の話であり、事実ベースを話してもらうだけなので、話す側があまり考えることはありません。
それでいて、ある程度たくさんお話をしてもらえます。
相手が創業社長でなければ、その方が経営者として就任したきっかけから聞けばいいでしょう。
創業間もない方なら、創業する前のことから聞けばいいでしょう。
この質問を投げかけてでまずはしっかりとお話をしていただく。
そして話の流れの中で感じた疑問や質問を素直に投げかけることでスムーズにヒアリングに入ることができます。
この投げかけはやってはダメ!
「では、これから質問をさせていただきます。御社の〇〇を教えてください?」
「では、××とは何ですか?」
「□□は何でしょうか?」
・・・みたいに、準備してきた質問をぶつ切りで投げかけてしまうと、なかなか自然な回答が引き出せません。
さらに言えば、間違っても、
「ではまず初めに貴社の事業内容を教えてもらえますでしょうか」
なんて聞いてはいけません。
こいつは何も調べずにうちに来たのか!!と思われてしまいます。
実は、意図的にこの質問をする時はあるのですが、それはあくまでも意図がある場合です。
その意図がわからない間は、調べて分かることを聞くのは止めておくべきです。
沿革も調べたらわかるのでは??
と思われる方もあるかもしれませんが、ネットを見てもその時の経営者が持っていた心情まではわかりません。
どんな思いで会社の立ち上げたのか?今に至るまでの紆余曲折などネットには出していないことはたくさんあります。
こうした経営者が答えやすい質問からスタートし、まずはたくさん話をしてもらえる環境を作りましょう。
そうすれば、そのあとに続くヒアリングもスムーズにいきます。
当たり前のように誰でもできるような話に思いますが、いざ経営者の前に行くと思ったよりできない方も多いです。
ヒアリングスキル、アップしていきましょう!
平阪 靖規
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