コラム

中小企業施策・政策の歴史:ものづくり補助金編

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中小企業診断士のミッションは、中小企業施策・政策を中小企業や小規模事業者に届け、その実施を支援すること。

これはあくまでも「本サイト(実践コンサル塾)」での一貫した主張なのですが、そのためにはさまざまな施策・政策の変遷を知らなければいけません。
そこで、何回かにわけまして、様々な施策・政策の歴史を振り返っていきたいと思います。

今回のテーマは「ものづくり補助金」です。
まずは以下の図で大きな流れを見てください。

今や補助金の中の代表格である「ものづくり補助金」ですが、その歴史は約10年前に遡ります。

平成24年度(2012年度)補正予算

平成24年度(2012年度)補正予算において「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」として「1,007億」の予算が計上されものづくり補助金はスタートいたします。
この時は、ものづくり中小企業・小規模事業者が実施する試作品の開発やそのための設備投資などを支援する事業として、主に製造業を支援する補助金としてスタートしました。

正式名:ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金
予算額:1,007億

公募回公募期間採択発表公募件数採択数採択率
第1次募集(第一次締切り)2013/03/15〜2013/03/252013/04/301,83674240.4%
第1次募集(第二次締切り)2013/03/26〜2013/04/152013/05/3110,2094,16240.8%
2次公募2013/06/10〜2013/07/102013/08/3011,9265,61247.1%
23,97110,51643.9%

平成25年度(2013年度)補正予算

ものづくり補助金2年目。
対象に革新的サービスが追加され製造業だけでなく非製造業も対象になりました。また、小規模事業者型の新設されました。

正式名:中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業
予算額:1,400億

公募回公募期間採択発表公募件数採択数採択率
1次公募(一次締切り)2014/02/17〜2014/03/142014/04/287,3962,91639.4%
1次公募(二次締切り)2014/03/14〜2014/05/142014/06/2715,0196,69744.6%
2次公募2014/07/01〜2014/08/112014/09/2914,5024,81833.2%
36,91714,43139.1%

平成26年度(2014年度)補正予算

ものづくり補助金3年目。
この年から中小企業の特定ものづくり基盤技術に「デザイン分野」が追加されました。また共同体の設備投資が支援対象になりました。

正式名:ものづくり・商業・サービス革新補助金
予算額:1,020億

公募回公募期間採択発表公募件数採択数採択率
1次公募2015/02/13〜2015/05/082015/06/1917,1287,25342.3%
2次公募2015/06/25〜2015/08/052015/09/3013,3505,88144.1%
30,47813,13443.1%

平成27年度(2015年度)補正予算

ものづくり補助金4年目。この年は小規模な取組みが対象になりました。
また、大幅な生産向上に取り組む場合は補助上限が3,000万円になり大型投資がしやすくなりました。
補助上限額3,000万円の効果は大きく注目度は一気に高まりましたが、採択率は低くなり競争が厳しい年となりました。
また、残予算が少ない中で2次公募が行われたので、2次公募の採択率は8.4%と過去一番低い採択結果となりました。

正式名:ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金
予算額:1,020億

公募回公募期間採択発表公募件数採択数採択率
1次公募2016/02/05〜2016/04/132016/06/0624,0117,72932.2%
2次公募2016/07/08〜2016/08/242016/10/202,6182198.4%
26,6297,94829.8%

平成28年度(2016年度)補正予算

ものづくり補助金5年目。
この年から「第四次産業革命」というキーワードが話題に。
「第四次産業革命」に取り組む場合は補助上限が3,000万円にアップされるようになりました。
また、2016年7月に 経営力向上計画が創設され「経営力向上計画」の認定が加点要素に加わりました。
この年は1年を通じて公募回数は1回でした。

正式名:革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金
予算額:763.4億

公募回公募期間採択発表公募件数採択数採択率
2016/11/14〜2017/01/172017/03/1715,5476,15739.6%

平成29年度(2017年度)補正予算

ものづくり補助金6年目。
企業間データ連携型が新設されました。
また、2018年6月に先端設備等導入計画が創設され、「先端設備等導入計画」の認定が補助率2/3要件、加点要素に加わりました。
1次公募のあとに「先端設備導入計画」の話が出て、これがものづくり補助金の大きな影響を及ぼすという話題が出てきたもののまだ全容が掴めない時期が続いた(市区町村によって使える・使えないがあった)ため、2次公募で申請する企業の市区町村に色々と問い合わせをしたことを思い出します、、、、
このように新しい制度ができた時というのは色々と混乱するのですが、と同時にその制度について調べる過程は中小企業診断士としてワクワクを感じる瞬間でもありますww

正式名:ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金
予算額:1,000億

公募回公募期間採択発表公募件数採択数採択率
1次公募2018/02/28〜2018/04/272018/06/2917,2759,51855.1%
2次公募2018/08/03〜2018/09/182018/10/296,3552,47138.9%
23,63011,98950.7%

平成30年度(2018年度)補正予算

ものづくり補助金7年目。
この年から申請が「電子申請」のみになりました。ただし、今のようにまだgBizIDのような共通IDはなかったので、ものづくり補助金専用の申請システムに入力して申請するという形でした。
また、2019年7月に「事業継続強化計画」が創設され、以降加点要素に加わりました。

正式名:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
予算額:800億

公募回公募期間採択発表公募件数採択数採択率
1次公募2019/02/18〜2019/05/082019/06/2814,9277,46850.0%
2次公募2019/08/19〜2019/09/202019/11/055,8762,06335.1%
20,8039,53145.8%

令和元年度(2019年度)補正予算

ものづくり補助金8年目。
この年からものづくり補助金にとって大きな変化が起きます。それは基金化されたことです。
これまでは単年度予算の中で行われてきたため、補助事業期間(いつまでの補助事業を終えないといけないかの期間)に大きな制約がありました。
大型の設備投資をしたいが納期が補助事業期間に間に合わないため使いにくいという声が多かったです。
また、この時までものづくり補助金は毎年のように今年で最後になる・・・・と噂されていました。
来年はどうなるのか、、、、我々支援者も事業者様から聞かれるのですが、年末の補正予算の情報が出てくるまではわかりませんという以外答えようがありませんでした。
ところが「基金化」され、これから3年間は生産性向上支援の集中支援をすると政府が発表したことで事態は大きく好転。
今後3年間はものづくり補助金が実施されることが確約され、補助事業期間も長く取られるようになり、補助金を利用しやすい土壌ができたのです。

こうして基金化されたものづくり補助金の公募がスタートしましたが、同時にコロナ禍に突入。
コロナ対策予算として多額の補正予算が計上されるようになり、コロナ対策予算&通常予算による補助金公募がスタートいたします。

正式名:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
予算額:3,600億(中⼩企業⽣産性⾰命推進事業としてIT導入補助金、小規模事業者持続化補助金等と共同での予算計上)

令和2年度(2020年度)補正予算

世の中はコロナの混乱真っ只中。
中小企業施策・政策も「資金供給」に一気に舵がきられ、多額の補助金予算が計上されます。
ものづくり補助金における令和2年度補正予算は第一次〜第三次まで3回にわたり計上されました。
コロナ対策として「特別枠」や「低感染リスク型」などの新しい類型が作られました。

第一次補正予算額:700億
第二次補正予算額:1,000億
第三次補正予算額:2,300億
※いずれも中⼩企業⽣産性⾰命推進事業として他の補助金との合算予算

ものづくり補助金は9年目に突入です。

令和3年度(2021年度)補正予算

ものづくり補助金10年目。
出てきた当初は3〜5年くらいで終わるのでは?と言われたものづくり補助金も10年目に突入しました。
まだ世の中はコロナ対策の真っ只中。
コロナ対策枠と通常枠が並行して公募が行われる状況が続きます。
そんな中で通常枠以外に「デジタル枠」「グリーン枠」など新しい類型が登場しました。

予算額:2,000億
※いずれも中⼩企業⽣産性⾰命推進事業として他の補助金との合算予算

令和4年度(2022年度)補正予算

ものづくり補助金11年目。
この年はこれまで別の補助金として「JAPANブランド補助金」がありましたが、これがものづくり補助金と統合されました。
また、賃上げが中小企業施策・政策の一大テーマとなり、大幅な賃上げを実施する場合は補助金の上乗せ制度ができました。

予算額:2,000億
※いずれも中⼩企業⽣産性⾰命推進事業として他の補助金との合算予算

基金化から令和4年度補正予算までの申請の状況は以下のとおりです。

公募回公募期間採択発表公募件数採択数採択率
1次締切2020/03/10〜2020/03/312020/04/282,2871,42962.5%
2次締切2020/03/31〜2020/05/202020/06/305,7213,26757.1%
3次締切2020/05/22〜2020/08/032020/09/256,9232,63738.1%
4次締切2020/08/04〜2020/12/182021/02/1810,3123,17830.8%
5次締切2020/12/18〜2021/02/222021/03/315,2992,33744.1%
6次締切2021/02/22〜2021/05/132021/06/294,9802,36247.4%
7次締切2021/05/13〜2021/08/172021/09/275,5072,76850.3%
8次締切2021/08/17〜2021/11/112022/01/124,6532,78059.7%
9次締切2021/11/11〜2022/02/082022/03/253,6132,24762.2%
10次締切2022/02/16〜2022/05/122022/07/154,2942,61260.8%
11次締切2022/05/12〜2022/08/182022/10/204,7442,81759.4%
12次締切2022/08/18〜2022/10/242022/12/163,2561,90758.6%
13次締切2022/10/24〜2022/12/222023/02/203,3221,92758.0%
14次締切2023/01/11~2023/04/192023/06/234,8652,47050.8%
15次締切2023/04/19〜2023/07/282023/09/295,6942,86150.2%
16次締切2023/07/28〜2023/11/072023/01/195,6082,73848.8%
81,07840,33749.8%

令和5年度(2023年度)補正予算

ものづくり補助金12年目。
ものづくり補助金は令和5年度末までは基金により運営されておりましたが、令和6年からは通常運用に戻ったようです。
ついにものづくり補助金も大きな転換を迎えました。
中小企業施策・政策も大きな転換を迎え、生産性向上から人手不足・賃上げに対応するための省人化・省力化が主テーマになりました。
そのため、ものづくり補助金において「省力化(オーダーメイド枠)」が創設されました。
ただし、この「省力化(オーダーメイド枠)」の要件が非常に厳しいものであり申請できるところはかなり限定されたものに。

17次の公募は、省力化(オーダーメイド枠)のみの公募。
18次の公募では「製品・サービス高付加価値化枠」が創設され新商品・新サービスの売上が全体の10%以上になることが求められるようになりました。

今年度は17次、18次で公募は終了すると明言されています。

まとめ

少しずつ使い勝手が悪くなっていると言われている「ものづくり補助金」。
2024年に基金化が終わり、次年度の実施は不透明になりました。
来年も続くのか、今年で終わるのか、年末の補正予算の動向が気になる状態に逆戻りです。

予算予算(億円)正式名称・公募回申請数採択数採択率
平成24年度補正予算1,007ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金23,97110,51643.9%
平成25年度補正予算1,400中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業36,91714,43139.1%
平成26年度補正予算1,020ものづくり・商業・サービス革新補助金30,47813,13443.1%
平成27年度補正予算1,020ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金26,6297,94829.8%
平成28年度補正予算763革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金15,5476,15739.6%
平成29年度補正予算1,000ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金23,63011,98950.7%
平成30年度補正予算800ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金20,8039,53145.8%
令和元年度補正予算3,600ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(1次締切)2,2871,42962.5%
令和2年度補正予算(第1次)7002次締切5,7213,26757.1%
(第2次)10003次締切6,9232,63738.1%
4次締切10,3123,17830.8%
5次締切5,2992,33744.1%
(第3次)23006次締切4,9802,36247.4%
7次締切5,5072,76850.3%
8次締切4,6532,78059.7%
9次締切3,6132,24762.2%
令和3年度補正予算2,00010次締切4,2942,61260.8%
11次締切4,7442,81759.4%
12次締切
3,2561,90758.6%
13次締切3,3221,92758.0%
令和4年度補正予算2,00014次締切4,8652,47050.8%
15次締切5,6942,86150.2%
16次締切5,6082,73848.8%
令和5年度補正予算2,00017次締切
18次締切

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中小企業診断士 2012年04月に中小企業診断士登録、2013年04月に独立。2014年10月に株式会社コムラッドファームジャパンを設立し代表取締役に就任。 会社経営に加えコンサルタントとして中小企業の売上アップを支援するとともに、稼げる中小企業診断士の育成に力を入れる。TACにて中小企業診断士講座の専任講師も担当(2022年に10年間従事し卒業しました。)している。個人ブログ「神保町で働く中小企業診断士&社長のブログ」もすごくたまに更新中!

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