皆様、こんにちは。
私たち中小企業診断士は、国の作った中小企業施策・政策の支援者としての役割を担って、中小・小規模事業者の皆様にそれを伝え、実行を支援することが求められています。
コロナが発生してからの3年間は補助金や融資といった「資金供給」が施策・政策の中心でした。
しかし、2024年はこの方針が大きく転換を迎えます。
「資金供給」から「事業再生・企業統合(M&A)」へ。
「生産性向上支援」は「人手不足・賃上げのための省人化・省力化支援」へ。
そして、2024年が中堅企業支援の元年と位置づける現政権の方針のもと、『中堅企業支援への軸足の移行』が予想されます。
この3年間、コロナ予算のおかげで私たち中小企業診断士が比較的関わりやすかった「補助金支援」の仕事が溢れていました。
しかし、そのバブルもいよいよ終わりを迎えます。
以下の経済産業省の中小企業対策予算の変遷を見てください。
2021年の補正予算では約4兆円が計上されていましたが、2023年の補正予算は約5,500億円に減少しました。
これでもコロナ禍前と比較してまだ多い方ですが、これから平時の予算編成に戻ってくるものと思われます。
こうした変化を踏まえて、中小企業診断士としての仕事も変化に対応していかなければいけません。
これまでのように補助金の依頼が多く寄せられ、それを処理するだけで収入を得られた時代は終わりました。
もちろん、補助金支援についてはこれからもなくなるわけではないので、まだまだ収益を上げるチャンスはあるのですが、しかし「誰でも」が利益を得られるわけではなく、市場の二極化が進むと考えられます。
この話はまた別の機会にまとめたいと思います。
話をもとに戻します。
では、これから中小企業診断士としてどのようなスキルを身につけていけばいいのか。
それは2024年の中小企業施策・政策の3つのポイントを見れば明らかです。
1、事業再生・事業統合(M&A)を支援できるスキル
2、人手不足・賃上げのための省人化・省力化に向けた中小企業施策・政策を支援できるスキル
3、中堅企業を支援できるスキル
1つ目は、これからコロナ融資の本格的な返済スタート時期を控えて、多くの中小企業・小規模事業者が厳しい環境に置かれると見られています。
しかし「資金供給」支援という旗印がなくなった今、新たな資金調達は難しく、再生・統合の支援ニーズが高まると見られます。
中小企業診断士が事業再生に関わる場合に求められるのはP/L改善。P/L改善の道筋を作り、自力で再生するのかM&Aを模索するのか、そうしたコーディネートする力が求められます。
P/L改善をするための支援スキルは、これから中小企業診断士に求められる代表的なスキルと言えるでしょう。
また省人化・省力化に向けた支援については、中小企業施策・政策をしっかりと理解して、適切な場面で適切なアドバイスができるよう、新設・改変される中小企業施策・政策を理解する必要があります。
最後に中堅企業を支援するスキル。
まずは、2024年3月13日に発表された「中堅企業成長促進パッケージ」。
この内容を理解することは必須です。
その上で、中堅企業を支援できるスキルを身につける必要があります。
中堅企業は中小企業・小規模事業者と異なり、ビジネスモデルの複雑さや課題解決の困難さ、関係者の数など、規模の大きさゆえにコンサルタントに求められるスキルや能力がより高いものになります。
結果として、いわゆる「コンサルタント」としての基礎的能力(論理的思考や高いコミュニケーション能力など)がより重視されるようになるでしょう。
このためには、これらの能力を改めて学び直し、向上させることが求められるかもしれません。
以上のように、中小企業施策・政策が時代とともに変遷するように、私たち中小企業診断士に求められるものも変わってきます。
変化に取り残されないよう、常に適応し続けなければなりません。
平阪 靖規
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