スキルアップ

補助金申請支援で基本スキルを高めよう

中小企業診断士が読みたい雑誌(1)
戦略経営者
中小企業診断士が読みたい雑誌(2)
日経トップリーダー
この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

ここ数年、中小企業支援施策に多くの予算が付いていますので、公的なお仕事につくチャンスが広がっていたり、支援できる補助金・助成金がたくさんあったり、事業者様に提案できる中小企業施策が色々とあったりして、中小企業支援の仕事を作ろうと思えば比較的簡単に作れる土壌が広がっています。

ただ、これらはこの先ずっとこの状況が続くわけではないので、こうした予算がなくなった後のことは常に考えておかなければいけません。
が、短期的な視点でいけば、この波を活かさない手はないわけです。
特に将来的にコンサルタントとして独立したい!という方にとっては、コンサルタントに必要なスキルを伸ばせる機会も多いのです。

さて、中小企業診断士として必要なコンサルティングスキルとは何でしょうか。

スキルの切り口によって、色々な見方はあると思いますが、ベーシックな部分で行くと
「聴くスキル」「(経営的な)考えるスキル」「書くスキル」
の3つだと考えています。

中小企業診断士の仕事は、
 1、経営者の話をヒアリングして、
 2、聞いた内容から色々と考えて、
 3、報告書や提案書、事業計画の書類といった資料を書いてクローズする
というサイクルで仕事をまわすことが多く、口だけ出して(アドバイスだけして)お金をもらうという(おいしい)仕事は、なかなかありません。

公的機関の専門家派遣はまさにこのパターンの典型で、経営者にヒアリングしてアドバイスして最後に報告書を作成・提出することで、お金をいただくことができるスキームになっています。

そうすると、コンサルティングの仕事で成果を出していくには「聴くスキル」「(経営的な)考えるスキル」「書くスキル」を伸ばしていかないといけないのですが、これらを仕事を通じてバランスよく一気に学ぶことができるのは「補助金・助成金(以下、補助金)の申請支援」だと考えています。

そもそも、(中小企業向けの)補助金とは何かと言うと、中小企業の経営課題を解決するために取り組む費用の一部を国や自治体が税金でまかないますよ!と言うもので、これから取り組む事業の事業計画を作成し審査を受けて選ばれることで補助金をもらうことができます。
ですから、単に「設備を買いたい!」「チラシを作りたい!」「商品開発したい!」と思っても、補助金がもらえるわけではありません。
補助金それぞれの趣旨にあった形で、しっかりとした事業計画を作らないといけないのです。

この事業計画を作るというのは、事業者さん単独でなかなかできるものではありません。
そこで、事業者さんだけでできないなら支援しましょう、事業者さんに変わって申請書作りましょう!ということで仕事に繋がるのが「補助金の申請支援」なのです。

で、この「補助金の申請支援」をするにはどのようなスキルが必要になるかというと、先に紹介した3つのスキルにつながるのです。

◇ 聴くスキル
「補助金の申請支援」のゴールは、採択される申請書を作ること。
そのためには、何より事業者さんが考える事業計画を聞き出すこと・引き出すことから始めないといけません。
事業者さんが何を考え、何をしようとしているのか、何を目指しているのか…聴くべきことはたくさんあります。
これから作成すべき成果物の質を決めるのは、聴くスキルが決めるといっても過言ではありません。

◇ 考えるスキル
事業者さんが考える事業計画の多くは、論理構成ができていなかったり根拠に乏しかったりして説得力の足りない部分が多いです。
補助金の採択は、最終的には審査員に納得してもらう事業計画でなければならないので、説得力を高めるためには事業計画をどうしなければいけないか・・・ということをたくさん考えないといけません。
「社長は○○というけど、実は××ではないか。」
「◇◇層に売っていくほうがいいのではないか。」
などなど、第三者だからこそ客観的に事業計画を俯瞰し、より実現性の高いものにブラッシュアップすることができるのです。
そのためには経営的視点からたくさん考えなければいけません。

◇ 書くスキル
聴いて・考えてまとめた事業計画は、最終的には文章という形で審査員は目にします。いくらいいことを考えていても、審査員にきっちり伝えられなければ審査を通過することはありません。
そのためには、事業計画をしっかりまとめる力、読み手に伝えられる力、すなわち「書く力」がなければすべてが台無しになってしまいます。

このように「補助金の申請支援」は3つのスキルが必要なわけですが、現時点でそれがないと仕事ができないかというとそうではありません。
補助金の申請支援の仕事は、量が多いので、少々スキルがなくても手を挙げればできるチャンスはたくさんあります。
色々な会社や診断士が補助金申請支援のパートナーを募集しています。
弊社でも、企業内診断士の方にスキルアップを図ってもらいながら、外部パートナーとしてお願いしている例もあります。

ですから、まだ中小企業のコンサルタントの経験がない方ほど補助金申請支援に積極的に関わっていき、「聴くスキル」「考えるスキル」「書くスキル」を一気に高めていくようにしてみてはいかがでしょうか。

私個人的にも、補助金申請支援を通じてコンサルタントに必要な基本スキルを身につけていきましたので。
ここで学んだスキルは、補助金申請支援以外のコンサルタントの仕事にも大いに生かせます。

冒頭にも書きましたが、この補助金であふれている状況はこの先そう長くは続きません。
その意味でもこの先1,2年が大きなチャンスだと思われます。

The following two tabs change content below.
アバター
中小企業診断士 2012年04月に中小企業診断士登録、2013年04月に独立。2014年10月に株式会社コムラッドファームジャパンを設立し代表取締役に就任。 会社経営に加えコンサルタントとして中小企業の売上アップを支援するとともに、稼げる中小企業診断士の育成に力を入れる。TACにて中小企業診断士講座の専任講師も担当(2022年に10年間従事し卒業しました。)している。個人ブログ「神保町で働く中小企業診断士&社長のブログ」もすごくたまに更新中!

関連記事

  1. 第12回小規模事業者持続化補助金について